ごきげんいかが?NAOです。
「よし、これでいこう!」と覚悟を決めて取り組んだはずなのに、ふと不安になって、あるいは思い悩んで、うしろを振り返りそうになるときありませんか?
本当に思い詰めてしまったら、人に話したり相談することもあるかもしれない。けれど、少々気持ちが揺らぐたびに、「ねーねー、聞いて」と人を巻き込むわけにもいかない。自分で自分を励ますよりほかありません。
そんなときは、江國香織さん著『ふりむく』の中に収められた1つの作品を、心の中でそっと唱えてみることをおすすめします。
それは天使なのか妖精なのか、この世のものではない神秘的な存在に、「うん、それでいいんだよ」と肯定されている気分になるから。
『ふりむく』/江國香織
当然だろ。ここには魔女もいれば小鬼もいる。
人喰いもいれば盗賊もいて、オオカミもいればカエルもいる。
でもきみは美しい心を持っているのだから、
ただまっすぐ歩いていけばいいんだ。
そりゃあいろいろなことがあるさ。深い暗い森だもの。
閉じ込められるのは地下か高い塔だし、願い事はたいてい3つまで。
剣をふるわなきゃならなかったり、
落とした涙を壜につめなきゃならなかったり、
それはもう右往左往、混乱して翻弄されて、怯えたり試されたり。
でもきみは美しい心を持っているのだから、
ただまっすぐ歩いていけばいいんだ。
不条理なことや理不尽なことに遭遇して、動揺したり、苛立ったり、悲しんだり…。私たちの日常には、ときとして自分が納得できない出来事が起こります。
でも、そんなの生きていれば当然、と“神秘的な誰か”は、不安や迷いをまず一蹴してくれます。
そして、「自分のチャレンジに、あなたは覚悟を決めたんでしょう?じゃあ、何があっても信じた道を進むしかないよね。身の回りで起こることに、いちいち思い悩んでも仕方がない。さぁ、前へ進もう」と冷静に、けれども温かく励ましてくれている気がするのです。
心に迷いや不安があっても、何かしゃくぜんとしなくても、そのことに思い悩まない。振り返らない。自分の目の前のやるべきことに集中する。
どんな状況でも、それを受け入れながら前進していく力をくれる言葉です。
◇『ふりむく』江國 香織 (著)、松尾 たいこ (イラスト)
それでは、ごきげんよろしく!