ごきげんいかが?NAOです。
ドラマ(かなり昔のトレンディードラマ)で、冷や水をピシャッと相手に浴びせかけるワンシーンってありましたよね。
相手の不届きな言葉や行動に対して、「冷静になって!」「甘えてるんじゃない!」といったメッセージ性のあるシーンです。
茨木のり子の『自分の感受性くらい』を最初に読んだとき、とっさにそんなシーンが頭に浮かんで、「目が覚める」思いがしました。大切な人が、本当にわたしのことを思って叱ってくれたような感覚、と言ったら近いかな。
『自分の感受性くらい』/茨木のり子
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
大人の多くは年を重ねるほど、無意識に自分の考えに固執したり、かたくなになりがちかもしれません。いわば、心がカッチカチの状態。他人や異質のものを認めたり、受け入れるしなやかさを見失っている有りさま。
残念ですが、そういう有さまを自分の中に見つけてるときってありませんか?私もよく身に覚えがあるし、この詩を読むとドキッとします。
そんな硬めのこころに、水と空気を注いでふかふかの状態にしたいとき、茨木のり子の詩『自分の感受性くらい』は効きます。
些細なことでイライラする。私ってこんなに嫉妬深かった?誰も私を理解してくれない…。
苛立ちに支配されているとき、読みたくなる詩です。心を柔らかく、強めにストレッチしてくれる感じ。深呼吸しながら唱えたら、きっと「ごきげん」を取り戻す「私」も近いかも。
それでは、ごきげんよろしく!